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子猫をミーさんのもとへと送り届けた明日香は、すっきりとした気分でときじく薬草珈琲店へと戻ってきた。手を洗っていると湊君が近づいてくる。
「猫さん、どうでした?」
「うん、ミーさんはお母さん猫だったんだけど、一匹の子猫がはぐれてしまっていたの。でも、無事、子猫を見つけて差し上げました」
「ミーさんって名付けたんですね笑。でも・・・ってことは、いなくなった子猫を見つけたってこと?」
「まぁね」
タオルで手を拭きながら、明日香は不敵に笑みを浮かべる。
「そういうところ、すごいな。いつもながら」
「いえいえ笑」
驚く湊君を尻目に、明日香は店の準備のためにホールへと向かった。どうやって子猫を見つけたのかを詳しく聞かれると説明が面倒なため、こういう感じの時、明日香はいつも会話を早く切り上げるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
1時間ほど経ったその日の夕方、コツコツという靴の音とともに高校生くらいの年齢の女の子が店の中へと静かに入ってきた。緊張した面持ちだったが明日香の顔を見て少し笑顔になる。
「明日香さん、こんにちは。時間になったので、来ました・・・」
明日香はオッと嬉しそうな顔を見せながら、その小柄でおとなしい訪問者を迎え入れる。
「渚ちゃん~。待ってたよ・・・て、あれ、ちょっと緊張してる?」
「はい・・・」
「え~。いつもお母さんと店に来てくれているのに~」
「でも、今日はバイトですので」
「はは、まぁそうだよね。・・・でも、来てくれてありがとうね。お兄ちゃん、呼んでくるね」
「うん」
兄妹でお店を手伝ってくれるなんて、なんだか素敵。そんなことを考えながら、明日香は湊君を呼びに店の奥に向かった。
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