最後に、もう一度だけ。

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「こんなにお土産もらっちゃって。 気を遣わせたのかな。でもありがとう」 帰りの車の中で、川瀬にお礼を言った。 川瀬の祖父は172センチの俺より背が高く、 70代とは思えないくらいの機敏さで 作業しながら、俺を歓迎してくれた。 「大変だったな。うちのトマト食べて、 早く元気になりなさい」 そう言って微笑む顔が、川瀬に似ていた。 「トマトの収穫は朝が勝負なんだ。ゆっくり 話せなくて、じいちゃん残念がってたね」 「うん。またお邪魔してもいい?」 後部座席には、積み上がるトマトの小箱。
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