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〖 陸の秘密 〗
日鳥 陸の意外な事実がわかったのは、夏休みに入る少し前の事だ。
その日、私は偶然、職員室で先生たちが話す会話を聞いてしまった。
「ユニホームの余りって無いですよね?」
「日鳥か?」
「新品が購入できないから、お古でも良いって本人が言ってるんですけど・・・」
「昨年卒業した生徒に聞いてみるよ。まだ捨てずに持ってる生徒もいるかもしれんし」
「ありがとうございます」
「しかし、日鳥もアレよな・・・才能に恵まれても親に恵まれなかったというか」
「連日のように商店街で暴れてたらしいですよ・・・日鳥が警察へ父親を迎えに行ってるのをクラスの女子が話してましたから」
「あれだけ優秀でサッカーもできるのに、本当に不憫だな」
「ですよね・・・・」
私はその内容に驚いて一人立ち尽くしていると、先生のうちの一人が私に気づいて
「表野、どうしたんだ?何か用か?」
と不信な顔で言った。
「あ、いえ。室谷先生がカウンセラー室に居なくて・・・・」
「ああ、先生なら今、面談中だ。面談室の前で待ってろ。じきに出てくるだろ」
「わかりました・・・ありがとうございます」
私はドキドキしながら職員室を出た。
知らなかった。
陸の家はお金にも恵まれた立派な家だと思い込んでいた。
私はこの胸のザワザワをどこへ持って行って良いか分からず、足早に面談室へ急いだ。
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