君と、サクラ

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面談室のドアが開いて生徒が出てきた。 「ありがとうございました」 一礼して、振り向いた生徒は私を見て 「あ、オモテノコヅチ」 と、目を丸くした。 室谷が面談していたのは陸だったのだ。 「どうしたの?」 私はドキドキしながら、言った。 「べつに。ちょっと相談してただけ」 と陸は視線を斜めに向けた。 お父さんの事を室谷に相談していたのかもしれない。 それとも、サッカーのユニホームを買えない相談だったのかも。 どちらにしても、今時の高校生にはあり得ないくらいの重い内容には違いない。 「室谷、呼ぼうか?」 「ううん、大丈夫」 と、私は何も知らない素振りで面談室のドアを開けた。
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