君と、サクラ

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「おう、どうした?表野」 室谷が少し驚いた顔で言った。 「日誌、書けたから」 と、日誌を室谷に渡した。 今日1日何があったか、どういう気持ちで学校生活を送っていたかを日誌に書いて提出しなければならないのだ。 それはできるだけ素直に思ったことを書かなければならない。 でなければ、ちゃんとカウンリングできないからだ。 「では、失礼しま・・・・」 「まぁ、そこに座って」 「え?でも、もう下校だし・・・・」 「少しだけ。話そうか」 と、帰ろうとする私を室谷は引き止めた。 すごすごと椅子に座る私を前に、室谷は書きたての日誌を開いた。 「最近、何か変化はあった?」 「変化?」 「うん。気になった事とか・・・・」 陸の顔が即座に浮かぶ。 室谷に、陸のことを聞いてみようか。 でも、私の口をついて出たのは 「特に何もありません」 という言葉だった。
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