君と、サクラ

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〖 別れ、そして再び 〗 蝉が鳴いている。 ただでさえ暑苦しいのに、それに拍車をかけてくるように鳴いている。 全部の窓が開け放たれた体育館にクラス別に並ばされて座る。 普段は終業式など絶対に参加しないが、もしかしたら陸の姿が見られるんじゃないかと期待して参加した。 こんな場に絶対に姿を現さない私が居る事がそんなに珍しかったのか、我がクラスは必要以上にざわめいていた。 「えー、長期連休になった途端に羽目を外す生徒がいますが君たちは我が校の生徒だという認識を忘れずに・・・・」 陸が居ないのは勿論、陸の話にすら触れなかった。 あれだけ大事になっていて、学校側が何も知らない訳がない。 私は学期最後の挨拶をしにカウンセリング室へと顔を出した。
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