君と、サクラ

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気づいたら走り出していた。 あの日みたいに内履きズックのまま、私は無我夢中で高台にある三吉公園めがけて。 ソメイヨシノの桜はすっかり散ってしまっていたが、その大木の威厳だけはしっかり保ちながら、風に吹かれて立っていた。 「陸っっ!!」 大きな肩が、こちらを向いた。 彼は私が来るのが分かっていたかのように、優しい目をした。
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