君と、サクラ

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「そろそろ俺行くわ。午後の授業始まるし」 立ち上がったズボンに引っ付いた葉っぱを払ってあげた。 「ありがとう・・・君の名前って・・・」 「表野こずえ」 「オモテノコヅチ?」 「違う!こずえ!」 私がムキになると彼はまたあの笑顔で笑った。 「じゃ、またなー。ウチデノコヅチ!」 あはは、と笑いながら彼は走って行った。 誰が打出の小槌なんだよ。 なんか、ヘンなヤツ。 私は半分以上、箸をつけていないお弁当の中から卵焼きを口に入れた。 「おいひ」 男の子の前で・・・っていうか、人前でご飯なんてずっと食べてなかったから緊張してほとんど食べられなかったんだ。
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