君と、サクラ

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〖 オモテノコヅチ 〗 「どこ行ってたんだよ?室谷サン」 「室谷先生、だろ?」 「センセイ」 室谷はふんわりウェーブの髪をくしゃ、とかきあげて 「君みたいな子に寄り添う知恵を教わりに行って来たんだよ」 と、わざと遠回しな言い方をした。 「講習会か」 私は悪気なく端的に言った。 室谷はホット珈琲をコポコポと入れる。 香ばしい匂いに少し安心する。 母親が珈琲が好きなのだ。 朝、起きて台所に行くとお弁当を作り終えた母親が必ず珈琲を飲んでいる。 その母親なら"当たり前"の光景に水を差したくなくて、私がまともに授業に参加していない事もカウンセラー室の常連だという事も母親にはまだ言っていない。 「日鳥 陸に出会った」 私がそう言うと、目を細めて縁側のお爺ちゃんみたいに珈琲を啜っていた室谷が大きく目を見開いた。 「どこで?学校でか?」 「三吉公園」 「なんでそんなとこ・・・・」 と言ってから 「あっ!お前っ!」 と勘の良い室谷は何か気づいたようだった。 「学校抜け出したのか!?」 「ここに来たら誰も居なかったんだもん」
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