君と、サクラ

9/22
前へ
/22ページ
次へ
そんな言葉を気軽に口にするなんて、コイツ硬派気取ってるだけのスケコマシ野郎なんじゃないだろうか。 いや、まてよ。 手のこんだストーカーか? いろいろ考えてはみたものの、日鳥 陸が私ごときに興味を抱く理由がないから頭の中ですべて却下した。 「なんでここにも居るのよ?」 あえて"も"を強調した。 三吉公園に"も"、屋上に"も"、私が行くところに陸が居る。 「それはお互い様だろ?」 と陸は眠たげに身体を起こし 「あれ?今何時?」 と私に聞いた。 「昼休憩だよ。え?いつからここに居たの?」 「朝から居た。やべぇ、朝礼出てねぇわ」 「無断欠席じゃんっ。担任に言ってきたら?体調不良で午後から登校したって事にすればいいじゃん」 「んなの、めんどくせーわ」 と陸は鼻で笑った。 私は笑えなかった。 「いいよね、学年一の優等生のエースアタッカーは。どれだけズル休みしても巻き返せるんだから、人生」 と、わざと棘のある言い方をした。 だって事実だから。 どうせ、今教室に行ったとしても陸はクラスメイトから歓迎されるに違いない。 大幅な遅刻だって、この愛嬌の良い顔で許されるに違いないのだから。 「いつも居場所があるっていいよね。悩み無さそうで」 私は陸の向かい側に座って、お弁当を広げた。 こんなお気楽野郎に遠慮なんてしない。 うちの母親の世界一美味しい手料理を思う存分見せつけながら食ってやる。 その時、陸が言った。 「居場所なんかねぇよ、最初から・・・・」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加