死の宣告を受けました

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 昨日はああやって強がってみたものの、正直言って怖さはある。ルルメリアからの死の宣告は、子どものおふざけで片付けられないような気がしていたのだ。  ぎゅっとバックの持ち手を握り締めながら、周囲を警戒して歩き続ける。    通りまであとわずか、というところで不気味な声が聞こえた。 「あんた、死相がでてるねぇ」 「……え?」  声のする方に振り向いていれば、そこにはローブをまとった怪しげな女性が水晶玉に触れていた。 (……もしかして、占い師の方?)  学園で生徒たちが話している噂を聞いたことがある。なんでも、的中率が高い占い師がいるのだとか。 「あんた、死相がでてるよ」  目が合うと、今度は確実に私に向けてそう言い放った。 「死相……ですか?」 「そうだとも」  思い当たる節があるからか、占い師の女性の言葉は私の不安を一気に煽られてしまった。ぐっと唇に力を入れ、ごくりと唾を飲み込む。恐る恐る女性に近付くと、一言尋ねた。 「……私は死ぬんですか」 「死相がでてるからねぇ。その確率が高いよ」  女性はフードを深くかぶっているので、口元しか見えなかったものの、怪しさは拭えなかった。 「あ、あの」 「お客さん。これ以上は有料だよ?」 「有料……」  話を聞きたい気持ちもあったが、お金を出せるほどお財布に余裕はなかった。断ろうとすれば、女性は引き止めるように話した。 「だがしかし。お金はとらないよ」 「えっ」 「初回さんはね、評判を広めてくれるだけでいいからね」 「ほ、本当ですか」 「あぁ。頼んだよ」  それは何ともありがたい話だ。そう思いながら女性の向かいに座ると、早速疑問を口にした。 「あの。死ぬという運命は決まっているんですか?」 「そうだねぇ……死相といっても、あくまでも“死ぬ危険性”が高いことを示しているだけだ。あんたが確実に死ぬというわけではない」  女性は自分の両手を絡ませると、そのままにっと笑った。私は真剣な声で尋ね続けた。 「抜け道はあるんですね」 「そうだね。だけど起こる出来事は変えられない。私もあんたも神様じゃないからね」  どういうことだろうと頭を働かせれば、女性はすぐに答えを教えてくれた。 「自分以外の、だよ。自分の行動は自分の意思で変えられるが、これから起こる他の出来事――例えば、あんたが死ぬはずだった事故は起こるだろうね」 「じ、事故って……」 「それ以外は私にはわからないね。だからせいぜい、注意深くしなとしか言えないのさ」 「……いえ。それだけで十分です。ありがとうございました」    
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