はじめての料理

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はじめての料理

 オースティン様と一緒に購入した材料を取り出しながら、夕食の準備を始める。 「……おかーさん、いいことあった?」 「えっ」  後ろでお絵描きを始めようとしたルルメリアが、じっと私の方を見ていた。 「ど、どうして?」 「にこにこしてるから」 「……そ、そうかな」  反射的に自分の頬に触れる。そんなに口元が緩んでいただろうか。 「いいことあったなら、よかったね!」 「……ありがとう、ルル」  いいこと、かはわからないが直近であったのはオースティン様との買い出しだ。緊張から解放されると同時に、少しだけ寂しさを抱いていた。  ……三日後か。  料理の練習をすると断言したオースティン様。上手くいくと良いなと思いながら、手を動かすのだった。
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