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「すみません、お家に行くときいたのですがご迷惑ではないでしょうか」
「大丈夫よ! この前一緒にいたお母さん方の子どもも一緒なの」
「そうなんですね」
「えぇ。だから安心して」
他の子もいるのなら、幾分か申し訳なさは消えて心配も薄まる。
「ルルメリアのこと、お願いします。何時まで遊ぶか予定はありますか?」
「うちのハンナもだけど、皆楽しみにしてたみたいだから、せっかくならお昼を食べて、少し遊んでから解散にしようか思ってるの。そうね、時間で言うと二時くらいかしら」
お昼まで!? それはさすがに申し訳ないという気持ちが込み上げてくる。
「そんなによいのでしょうか……」
「いいのよ! 家の場所もあるから、子どもたちが集まって遊べるのは数少ない機会だから。もちろん、クロエさんさえ良ければなのだけど」
そう言われて、ルルメリアの方をチラリと見る。そこにはハンナちゃんと楽しそうにお喋りするルルメリアがいた。
「それでは午後二時頃、お迎えに行きます。それであの、こちらつまらないものなのですが」
「あら! いいのに」
そういうわけにはという表情をしながら、マギーさんに学校近くにあるお店の美味しいと評判のクッキーを渡した。
「では二時にお待ちしてるわね。それじゃ、家まで案内するわ」
「はい、お願いします」
こうしてルルメリアとハンナちゃんをそれぞれ呼ぶと、そのままマギーさん宅へと向かった。
場所はパン屋さんから少し離れており、歩いて三十分ほど経った距離だった。
「ハンナちゃん、ルルちゃん!」
そこには既に集まっていた子どもたちが、嬉しそうに二人を向かえてくれる。他のお母さん方とも改めて自己紹介をして、ご挨拶を済ませた。
送り出す時に、私はルルメリアの頭をなでて一言伝えた。
「ルル。楽しんできてね。でも、良い子にするのよ」
「うん! あたしいいこにできるよ!」
「そうだね」
「おかーさんもおーさんと楽しんできてね!」
「……うん」
それはあまり頷けるかは微妙なところだけど、せめてルルメリアの分までは楽しもうと思った。
ルルメリアに手を振り、マギーさんに一礼すると、私はオースティン様の来訪に備えて自宅へ戻るのだった。
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