好意の贈り物

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 心配そうな表情で私の顔をそっと覗き込んだルルメリアに、思わず変な声が出てしまう。慌てて笑みを作るものの、ぎこちないものになっていた。  もう一度手紙に書かれたオースティン様の気持ちを読みながら、私はルルメリアの方を見た。 「……ルル。そのドレス着てみる?」  そう問いかけると、ルルメリアの瞳はみるみる大きく見開かれ、ぱあっと輝きが増していった。 「うんっ……!! あたしこのドレス着てみたい!」 「よし、じゃあ着替えよう」  こうして私はルルメリアにドレスを着せることにした。 (こんなにしっかりしたドレス、触ること自体久しぶり……いや、初めてかも)  それなりのドレスを着たことはあるけれど、ここまでしっかりとした生地で上位貴族が身にまとうようなドレスを手にするのは覚えている限り初めてのことだった。  ルルメリアに丁寧に扱うよう言いながら、私もそっと慎重に触れていく。 「きれた! かがみ――」 「待ってルル。せっかくならもっと、お姫様になりたくない?」 「おひめさま……!」  今のルルメリアはただ髪を下ろしているだけだったので、私が貴族らしいまとめ髪を作っていく。ドレスだけでかなりの輝きがあるので装飾品は不必要だろう。 「おひめさま、おひめさま」 「ふふっ。ちょっと待ってね、あと少しだから」  今まで見た中で一番上機嫌といっても過言ではないほどに、ルルメリアはずっとにこにことしていた。 「できたっ。うん、いいよルル、鏡を見てごらん」 「やったー!」  走ろうとするルルメリアの手を引いて、「ルルはお姫様だよね?」と問いかけた。そうすればはっとした顔へと変わり、すぐさま落ち着いた歩き方になった。 「わぁぁぁ!」  鏡を前にしたルルメリアは、自分のドレス姿に非常に満足している様子だった。  ピンク色を基調とした、レースが繊細に施されたドレスは、甘すぎず美しい印象を与えるものだった。ルルメリアの愛らしい様子と相まって、私の目にはこの子が立派な貴族の令嬢に見えていた。 (……あぁ、こうやって女の子の成長は感じられるのかな)  鏡に映るルルメリアは、私が今まで見た中でダントツに綺麗だ。 「ルル、凄く良く似合ってるよ。本当にお姫様だね」 「ありがとー、おかーさん!」  ドレスをかなり気に入ったのか、その後もルルメリアは一時間ほど鏡の前で自分のドレス姿を見つめているのだった。
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