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最近、噂で陽太がやんちゃグループと他校の生徒と喧嘩して怪我をしたと聞いた。
大丈夫かな…。
それが原因なのかと思ったけど、それだけではないような気がする…。
でも、あの正義感が強い陽太がそんな事するなんて信じられなかったから違うと思いたいけど。
親友なのに……どうして何も言ってくれないのかと悲しくなる。
僕たちの誘いを断ることも何回もあったし、避けられているような感じさえするくらいだ。
もうどうすればいいのか分からないまま時間ばかり過ぎていく。
「優月!久々に一緒に帰るか!たまにはいいだろ?」
突然、後ろから声を掛けられ振り返ると陽太が立っていた。
「陽太!うん!帰ろ」
久しぶりに陽太と二人で帰れる事が嬉しくて、思わず顔が綻ぶ。
「おう!じゃあ行こうぜ!」
僕たちは肩を並べて歩き始めた。
「最近、優月と帰ってなかったからな」
「そうだね」
しばらく沈黙が続く中、不意に陽太が口を開く。
「優月、あのさ──」
「……ん?なに?」
「いや、何でもない」
そう言ったきり黙ってしまった陽太の横顔を見ると少し悲しげに見える。
喧嘩のこと聞いてみようかな…。
「ねぇ、陽太」
「なんだ?」
「喧嘩したって聞いたよ?学校も休み多いみたいだし、大丈夫なの?何かあった?」
恐る恐る尋ねると陽太は一瞬驚いた顔をした後、フッと笑う。
「あぁ、別に何もない」
そうは言うもののまだどこか浮かない表情に見えるのは気のせいだろうか?
「でも、噂になってるよ!この前それで怪我したんでしょ?」
その言葉にピクッと反応すると視線を逸らすように前を向いた。
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