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あれから数週間が経ったが、相変わらず陽太の様子は変わらないままだった。
進一郎も心配して陽太に声を掛けてくれていたようだが、素っ気なく返すだけで相手にしなかったらしい。
「あいつ、どうしちまったんだろうな……」
帰り支度をして教室を出ようとしている時に隣を歩く進一郎は心配そうに呟く。
「わかんない。ただ、やっぱり何か悩んでるみたいなんだよね…。でも、何も言ってくれなくてさ。どうしたら良いんだろって考えてるんだけど、何も思いつかなくて…」
「そっか。俺もまたそれとなく聞いてみるけど、あんま期待すんなよ?」
「うん、ありがとう。進一郎は優しいね」
「そんなことねぇよ。俺だって陽太のことは心配だし。まぁ、俺たちに出来ることなんてないかもしれないけど、あいつが元気ないと調子狂うしな」
「そうだね」
進一郎に感謝しつつ昇降口で靴を履き替えて帰ろうとすると、なんだか外が騒がしい。
「なんだろ?」
進一郎と二人で顔を見合わせて首を傾げる。
すると、数人の男子たちが慌てた様子で走って来た。
「おい!!大変だぞ!!」
一人の声に全員が立ち止まると一斉に振り向く。
その様子を見る限りただ事ではないみたいだ。
「なんだよ?」
一人の生徒が聞き返すと、息を整えながら口を開いた。
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