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「な、なんだよ、おまえ!!」
突然現れた変な奴にびっくりしていた悠真くんが立ち上がる。
「俺は正義の味方だ!いじめっこ!かかってこい!!」
さっきのポーズのまま叫び返すと、悠真くんや昇くんたちをからかうようなヤジが周りから飛び始めた。
男の子はヤジを飛ばし始めたクラスの子たちの方を向いてキッと睨んだ。
「お前らもだぞ!見てるだけなんて弱い奴がすることだ!」
そう言って今度は近くにいた子にも指を指して叫ぶと、教室にいた他の子達はビクッと体を強張らせた。
悠真くんたちは恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にして俯いてるのを横目に男の子はくるっと振り向き、僕と目が合うと手を差し出してきた。
まっすぐな視線が僕を射抜く。
目が離せなかった…。
今まで見てきたどんな人よりもかっこよく見えたから。
「俺、荒井陽太!お前の名前は?」
差し出された手を恐る恐るそっと握る。
「あ…ありがとう。僕、中村優月」
名前を言うと握られた手にぎゅと力がこもった。
「優月か!おれたち今日からともだちな!」
ニカッと笑った顔が太陽みたいに眩しくて、僕は目を細めて笑った。
その瞬間、胸がどきどきした。
今まで感じたことのない不思議な気持ちが込み上げてきて、きゅっと胸を抑えた。
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