戦隊ショー

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楽しい時間はあっという間に過ぎていき、クライマックスのポーズを決めると同時に僕たちは興奮のあまり大きな声で叫んでいた。 最後に全員で決め台詞を言うシーンでは、陽太が声を張り上げる。 「俺たちは正義の味方!みんなの平和を守る!今日も悪を倒してきたぜ!俺たち星命戦隊!!」 一斉に観客たちから拍手喝采が起こり大盛況のうちに幕を閉じた。 僕たちはまだ興奮が収まらず、ずっと喋りっぱなし。 ふと、周りを見るとさっきまで一緒にいたはずの母さんたちの姿が見当たらない。 あれ?どこいったんだろう? キョロキョロと見渡すが見当たらない。 ど、どうしよう……。 迷子になったしまったと、怖くなって泣き出す僕の手を陽太はぎゅと握ってくれた。 「おれはキラレッドだ!優月は泣き虫だからおれがまもってやるよ!」 「う、うん。⋯ありがとう、陽太」 その言葉に安心して、涙を手で拭っていると、遠くから僕たちを呼ぶ声が聞こえた。 声のする方を向くと母さん達がこちらに向かって手を振っているのが見えたので、僕たちは手を振り返してその場を後にした。 帰りの電車でもさっきの戦隊ショーのことを熱く語り合った。 「おれはやっぱり、星命戦隊キラレンジャーはレッドがヒーロー!!って感じで一番かっこいい!」 陽太は目をキラキラさせて、興奮したように僕に話すのを聞いて僕は首を横に振った。 「でも、僕が一番かっこいいと思うヒーローは陽太だよ!」 「え!?」 「陽太がもしレッドだったら、絶対負けないと思うんだ!だって、陽太は誰よりも強くてかっこいいんだもん!」 「そ、そうか?」 「うん!」 僕が力強く頷くと陽太は少し照れながら頭を掻いていた。 「優月がピンチになったら、俺が守ってやるからな!」 そう言って、ニカッと笑う陽太につられて僕も笑い返す。 「じゃあ、僕も強くなって陽太のこと守ってあげるね!」 陽太は驚いたように目を丸くしてそれから、嬉しそうに笑って頷いた。
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