戦隊ショー

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あんなに嫌だった学校が楽しくなった。 陽太とはクラスが離れても毎日のように一緒に遊んで、中学に入ってもそれは変わらなかった。 二年になって二ヶ月くらいたった頃、六月の朝は蒸し暑いし、じめじめした風が吹いて前髪が汗ばんだ額に張りついてくる。 今日も暑くなりそうだな、と思いながら陽太を迎えに家に行くと、スマホのメッセージに寝坊したと書いてあるのを見てため息をついた。 陽太は遅刻魔だから、いつも僕が迎えに行っている。 今日もか…。 このままじゃ間に合わないかもしれない。 仕方がないから陽太を置いて先に学校に向かうか…。 自転車に乗ってペダルを漕ぐ足に力を込めて走るスピードを上げた。 下駄箱で靴を履き替えて、教室に入るとクラスメイトはみんな揃ってた。 「おはよー」 「あれ、陽太は?」 上野進一郎が笑いながら近づいてくる。 陽太と元から友だちだった進一郎とは小学校の高学年で僕も友達になった。 ここの中学は校則が自由で、進一郎は赤く染められた髪と両耳いっぱいにピアスが開いてて不良ぽい見た目けど、実は凄く優しくてお調子者だ。 「寝坊だって」 「そっか、じゃあ後で来るな」 僕が自分の席に鞄を置くと、ちょうどチャイムが鳴った。 担任が入ってきて出席を取り始めると、教室の扉が勢いよく開き息を切らしながら陽太が入ってきた。 「セーフっ!!」 「残念、アウトだ。早く座れぇー」 担任の言葉に、クラスのみんながどっと笑う。 「さーせん」 陽太は苦笑いしながら席に着くと、僕を見てニカッと笑い親指を立てるそれに僕も笑顔で返した。 朝のホームルームが終わると、陽太は僕の席に駆け寄ってきた。 「優月、何で先に行ったんだよ。待っててくれると思ったら居ねぇーんだもんなぁ!」 「だって、待ってたら遅刻しちゃうし。それに起きてなかったのは陽太じゃん」 「優月は冷てぇーー!去年はあんなに俺の真似するくらい素直で可愛かったのに!」 「可愛くなくて結構ですよ」 二人で笑ってると、前の席の進一郎も話に加わってきた。 「それってあれだろ?ゆづが陽太の真似して金髪にしたやつ!」 「そう!あれ見た時、おれ初めて口が開いたままになったからな!!」 陽太は思い出したのか笑い出す。 「やめてよ!それはもう忘れてほしいんだけど…」 「いーや、忘れないね俺はっ!!一生言うから!なぁ進?」 「だなっ!!」 陽太と進一郎は顔を見合わせて笑うのを見て僕は頬を膨らませて拗ねた。
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