僕のヒーロー

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僕のヒーロー

薄茶色の髪にぱっちりした黒い瞳、白い肌は男のなかで華奢な部類に入ってる僕は内気で名前も女の子みたいだといじめられることが多かった。 クラス替えの日はいつも気分が良くなくて、学校に行くのがイヤになる。 僕の学年はクラスが五つあって、すごく多いから知らない子と一緒になることが多い。 新しいクラスに入るのはちょっと心細いし、友達を作れるかどうか不安だった。 小学三年生の初日。 ランドセルの肩紐をぎゅっと握ってドキドキしながら教室に入ると、二年生で同じクラスだった、いじめっ子の悠真くんと昇くんがいてさっそく僕をからかってきた。 「また弱虫ゆづきと同じクラスかよ!!」 「ゆづきって名前、女の子みたいでへーん!」 「う……っ」 そういって、二人はいつも僕にちょっかい出してくるし、クラスのみんなはそれを見ているだけ。 すぐに言い返せなくて泣くことしか出来ない僕ってなんでこんなに弱虫なんだろう。 「うぅ⋯っ」 また涙が出そうになる。 「また泣くのかよ!」 「泣き虫~!」 悠真くんと昇くんの声がどんどん大きくなっていくのを俯き涙を堪えていると、ガラッと教室の扉が開いて一人の男の子が悠真くんに向かって飛び蹴りをしたのが見えた。 えっ…? 一瞬の出来事に教室中がシーンと静まり返って、 勢いよく床に倒れた悠真くんは痛そうに呻いている。 「おいっ!弱いものイジメするな!!お前ら、かっこ悪いぞっ!」 僕を背にかばってくれた男の子は当時、人気だった戦隊もの番組の台詞を叫んだ。 「星命戦隊!キラレッド参上!!」 その状況にクラスのみんなは、ぽかんっとその子を見つめている。 僕より少し背が高くて、黒い短めの髪にやんちゃそうな顔つきをしている男の子は上着を首に巻きマントみたいにして腰に手を当てて片足をあげてポーズをきめている。 教室の窓から差し込んだ太陽の光が当たって輝いている姿は、まるで強くてかっこいい憧れのヒーローみたいに僕は見えた。
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