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ここはとあるゲーム会場。塩沢は友人の佐藤と共に来ていた。
11時50分になって主催者が言った。
「今から番号の書かれたブザーを一人ずつお渡しします。そのときに時計を集めます。12時になったらブザーを鳴らしてください。見事12時を当てられた人には、賞金120万円を贈呈します!」
一斉に歓声が上がる。
――やった、120万ゲット!
塩沢は確信していた。佐藤はとてもいい時計を持っているのだ。
「ぼくは10番」と塩沢。
「僕は11番だ」と佐藤。
「それではゲームスタート!」
10分とは長い。よほど集中力がないと10分なんて分からないだろう。
皆10分経ったと思ったのか、次々とブザーを鳴らす。でも。
佐藤をちらと見る塩沢。今のところ変化なし。まだ10分経っていないようだ。
ぐううう。
――ああ、ぼくの方がお腹空いたよ。
思った時だった。
隣でブーッと音がした。
「優勝は、11番の方!」
塩沢が隣を見ると、佐藤が11番と書かれたブザー片手に得意げな顔をしていた。
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