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少女
「――あら、今日も来てくれたのね青湊。別に、無理しなくて良いのに」
ある春の日のこと。
街の外れの、小高い丘の上に立つ大きな一本の桜の樹――その木陰に凜と佇み告げるは、花に溶け合う薄桃色の髪を纏う清麗な少女。そんな彼女に対し、僕は――
「……いや、そもそも来るように言ったのは君だよね? それも、君自身は来るかどうか分からないのに」
そう、呆れながら尋ねる。すると、どうしてか少し可笑しそうに微笑む少女。……ほんと、何してるんだろうね僕は。
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