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嘘でしょ。どんなにサンタに祈っても神様にお願いしてもまな板だった私の胸が膨らんでる!?
普段から転生系の漫画をボケッと読んでいるわけではない。この訳の分からない人物達。そして自分の名前ではないネームプレート。そして念願だった私の体に現れた二つ山。そして場所は病院。この状況を私は察した。
そう、私は転生したんだ。でもどこに?
まさか自分が転生をするなんて夢にも思わなかった。漫画では喜んで読んでいたが、実際に自分がその立場になると少し怖い。
もう一度美少女の事を見ると私は彼女を思い出した。
「もしかしてあなた・・・西園寺日向さん?」
「思い出した私の事?」
やっぱりそうだ。
私がさっきまで家でビールを片手に読んでいた漫画の主人公が西園寺日向。『転生しましたが不幸すぎて嫌になる』という新作漫画の主人公が彼女である。
私と同じ何の特徴もない主人公がお嬢様の西園寺日向に転生するのだが、この彼女が不幸を呼び寄せる体質があり、不幸だらけの学園生活を何とか幸せにしようと奮闘する日々を描いたドタバタコメディ。しかし新作の漫画ということもあり、1巻しか出ていないのと読んでいる途中だったというのもあって話が途中までしか分からない。
でもここが漫画の中の世界という事はこの子も・・・。
「あなたも転生した感じですか?」
「転生?何の話?」
どうやらこの世界で転生したのは私だけらしい。
「ねぇ、私の名前って東条瑠璃ですよね」
「そうだけど・・・だんだんと思い出してきた!?」
キラキラと目を輝かして私のことを見る西園寺。なんだかこの目を見ていると子犬の愛くるしい姿が思い浮かぶ。
だけど私は貴方の知っている東條瑠璃ではないの。ごめんね。
とりあえず私の今持てるすべての情報をもとにこの子で答え合わせをしていかないと。
「あなたと私はどういう関係ですか?」
「あなたと私は親友!」
親友。ああ、そうだ。東条瑠璃は確か主人公の良き友人でサポート的役割をしていたと思う。
なるほどね。うん?ま、待って。本来ならこの子が転生する役だというのに西園寺がどこかから転生してきた様子はない。ということは・・・。もしかして私がこの子を導かなければならないの!?
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