7人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
ということは、もしも私が何もせずに生活したらこの子が不幸になっていくって訳!?
そんなの困るんですけど~!
「ねぇ、西園寺さん」
「改まってどうしたの?」
「あなたは自分がよく不運に見舞われると思いますか?」
「うーん。不運なのかな?よく外にいると鳥の糞が落ちてきたり、何もない場所で転けて大怪我したりはするけど」
それを人々は不運というんですよ。この子もしかして自分が不幸体質だという自覚無いの?
「自分が不幸な体質だという自覚はありますか?」
「私が不幸な体質?そんなわけ無いじゃん」
自覚がないって一番不味いパターンじゃん。転生主人公みたいに自分で破滅を回避せずに人生を終わらせていくスタイルのやつだって!
「西園寺さん。私が言うのもなんですが、貴方は不幸な体質です」
「また、また、瑠璃ちゃんは冗談が上手いな」
ダメだ。このままじゃ不幸な出来事があって指摘したとしても絶対に言うことを聞かない。
私は近くまで手招きして近づいてきた彼女の肩を掴む。
「いいですか?もしも貴方がこの先幸せに暮らしたいというのならば私の話を聞いてください」
「聞かなかったらどうなるの?」
「この先、一生不幸に見舞われるでしょう」
「え?なにそれ、怖い」
「怖いと思うなら私の話はしっかり聞いてくださいね」
「はい。分かりました」
西園寺はいまいち言葉の意味を理解していないようだが、まぁ確かに自分が不幸な体質ですよといきなり言われても信じることはできないだろう。
とりあえず彼女が私のせいで不幸になるのは耐えられないから出来るだけ彼女を破滅のルートから遠ざけていこう。
それに昔おばあちゃんに言われた。困っている人はどんなことがあっても助けなさいと。今がその時なのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!