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それから部長は静かに車を発進させる。
「少しだけ遠くに行くけどいい?」
「あ、はい」
私の返事を聞いて部長は微笑むと、緩やかにスピードを上げる。
部長の様子を見る。
ハンドルを握る部長の手はとても男らしく筋張っている。
でも、その手で撫でられた頭は全然男の人を感じさせないような優しい手つきだった。
横顔もとても綺麗で、男らしい。
海翔とはまた違った雰囲気だ。
5歳しか違わないのに、妙に色気を感じる。
「さすがにそんなに見つめられたら俺も照れるんだけど」
「あ、すみません」
私は慌てて前を向いた。
「いや、謝らなくていいよ」
そう言って笑った気配がした。
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