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「⋯さん」
なんなのよ、海翔のヤツ⋯。
「と⋯さん」
私ばっかりみたいじゃない。
「東堂さんっ!」
「は、はいっ!」
呼ばれていることに気づき慌てて振り向くと、部長がコートと鞄を持って私を見ていた。
「あ、部長」
「どうしたの?考え事?」
「え、あ、いえ」
「なにか悩んでるなら今日は聞くよ」
「あ、そういうわけでは⋯」
「そう?じゃあ、行こうか」
「あ、はい」
部長は私を誘導して歩く。
「なにか食べたいものある?」
「なんでも大丈夫です」
「そう?先週は月嶋くんとどこで食べたの?」
「和食居酒屋さんに」
「そっか⋯んーじゃあ、洋食にしようか」
食事が被らないように配慮をしてくれる。
前を歩いていた部長の背中を見る。
海翔が⋯部長が私のこと好きかもって⋯今日告白してくるかもって言ってたっけ⋯。
いや、ないない。
ありえないよ。
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