テレパシー暴走状態

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テレパシー暴走状態

街を歩くとすれ違う人とテレパシーで繋がっちゃうし、電車に乗ってもそれは変わらずで、ごまかすのが大変でした。 たとえば、こんな感じ。 だんち。『眠いなあ』 通行人『眠い? 誰が? あれ、なんで頭のなかから声してるんやろ』 だんち。『やば。また繋がった。歩く電波塔やん』 通行人『えっ、えっ!? なにこれ!』 だんち。『すいません。意識をそらしてもらっても良いでしょうか。じゃないとずっとこのままなので』 通行人『えっ?! もしかして繋がってる? テレパシー? まじもん?!』 だんち。『興味をもたないでください。ずっとこのままだとしんどいですよ』 通行人『あの、超能力者ですか?』 だんち。『超能力者っていうか。テレパシーはテレパシーだけども、暴走している状態で、自分ではコントロールできないんです。このままだと考えてることが駄々もれになりますよ、お姉さんの心の声もまわりに聞こえちゃいます』 通行人『え、それはイヤやなあ』 だんち。『今、うちがリモコンで、お姉さんはテレビの関係です。 テレパシーにも相性があって、うちがいま能力のコントロールがきかず暴走している状態で、電波を無差別に放ってる状態です。 お姉さんはその電波をキャッチしてテレビがついている状態です。 逆に言うとテレビの電源をおとしたらこの声は聞こえなくなります。 リモコンが暴走してるので、テレビの主電源をおとしてほしいんです。 そのためには、私から関心をそらすことが大事なので、どうにか別のことを考えてみてください』 通行人『うーん、別のこと?』 だんち。『ハーゲンダッツの事とか考えてみて!』 通行人『ハーゲンダッツ…』 ここでやっと、テレパシーが途切れます。 この話はスムーズにいった例で、 基本的にはなかなか切ることが出来ません。 これがわんこそばみたいに次から次に繋がっていくので、その度に心のなかで説明して、意識をそらしてもらうお願いをして切っていかねばいけません。正直、大変でした。 ちなみに電車に乗って物理的に距離が離れても、執着されるとテレパシーが繋がったままになります。( ;∀;) 繋がりやすい環境というのもあって、 電磁波が近くにある環境、 たとえば家電とか電化製品が たくさんあるところ(ヨドバシとかですね) だと、かなり繋がりやすくなります。 嬉しくないけど。 電車で居合わせた、耳に障害を持ってるおじいちゃんからしつこくテレパシーで話しかけられた時は大変でした。切るのに、2時間かかった。( ;∀;) 距離が離れても話しかけてくるし、テレパシーを切る協力はしてくれないし。 普段人と話せない分、話したかったんでしょうね。諦めてくれて良かったけど、大変でした。
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