キモいおっさん

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キモいおっさん

キモいおっさん「おい、うるさいねん。さっきからだんち。とか言うやつを中心に話し声が聞こえるんやけど」 フロントのお兄さん『すいません。ただいま部屋が満室でして、移ることが出来ません。一晩我慢していただけないでしょうか』 キモいおっさん「こっちは仕事できてんねん。しょうちゃんとかいうガキもうるさいし、なんやねん。さっきから頭に声が響いて眠られへん!」 フロントのお兄さん『申し訳ありません。隣の部屋にお子さま連れのご家族がご宿泊されていて、そのお子さんの名前がしょうちゃんという名前みたいで。』 キモいおっさん「さっきから聞こえる、だんち。って何者やねん!」 フロントのお兄さん『だんち。さんは素晴らしいかたです。フロントの仕事をしていた女性の相談に乗って、転職するのを後押ししました。私も尊敬しております』 キモいおっさん「そんなにいいこなんやったら、うちで雇いたいわ! もういいわ、帰って」 フロントのお兄さん『失礼します』 キモいおっさん『おい、聞こえてるか?』 だんち。『すいません。私から意識をそらせていただけますか? そうしたら聞こえなくなると思うので。』 やり方を説明中。 キモいおっさん『むりや、できへん! ただでさえエアコンの音とかうるさいのに』 だんち。『聴覚過敏のけがありますね。BOSEのワイヤレスイヤホン、おすすめです』 キモいおっさん『もう無理やん、店しまってる! 俺は今日寝たいの!』 少年の声『だんち。さん、困ってる?』 だんち。『うん。ちょっとな。どうしようかな』 少年の声『しょうちゃんのBOSEのイヤホン、使ってみる?』 キモいおっさん『買い取るからくれ! 眠られへん!』 若い女の人の声『しょうちゃん良いん?』 少年の声『だってだんち。さんが困ってるって言ってるし、しょうちゃん、明日また新しいの買えば良いから我慢する。』 若い女の人の声『って言ってますけど、どうしますか?』 キモいおっさん『買い取るから部屋にきてや』 若い女の人の声『わかりました。でもこれで、文句は終わりにしてくださいね』 キモいおっさん『わかった、わかった。』 数分後、受け渡し完了後。 キモいおっさん『これは良いわ! うるさい音が聞こえへん!』 だんち。『良かったですね。それにしても、しょうちゃん、良かったん?』 少年の声『しょうちゃん、我慢する。』 キモいおっさん『まだ声がするんやけど』 だんち。『こればっかりはどうにもならないんです。すいません。』 キモいおっさん『寝られへんやんけ! トイレの音までクリアに聞こえるぞ!』 だんち。『それはおかしいでしょう。一部屋挟んでるんだし。』 数分後、だんち。トイレへ。 キモいおっさん『あー聞こえるわー、トイレいってるやろ。聞こえる、聞こえるわー! 用を足してる音聞こえるわー!』 おばちゃん『キモいな』 おばちゃんの隣の部屋のおっちゃん『気にしなや、だんち。さん。にしてもキモいな』 部屋をかわったおっさん『俺のがマシやったやろ?』 おばちゃん『あんたはドア蹴ったり、怖かったやん! 今でこそ落ち着いてるけどさあ』 部屋をかわったおっさん『ねむたかってんて。おばちゃんらうるさいし。物音もすごかったし』 トイレから出てきただんち。 おばちゃん『だんち。さん、大丈夫?』 だんち。『めっちゃ粘着されてるんやけど、どうしよう』 少年の声『しょうちゃんのイヤホン、あげたのに……』 キモいおっさん『まだ声聞こえるぞ、離れてねろや!』 だんち。『ベッドじゃなくて床で寝るわ。これ以上は距離をとれない。』 キモいおっさん『それでもまだ聞こえる!』 だんち。『これ以上は無理やって!』 キモいおっさん『いい加減にしろよ!今から部屋行って文句言ってやる! どこや!』 おばちゃん『だんち。さん、大丈夫? おばちゃん、そっち行こか?』 だんち。『おばちゃん、ありがとう。部屋から出んとくわ』 少年の声『しょうちゃん怖い。』 そとをうろうろする音。 おばちゃんの隣の部屋のおっちゃん『うわー、まじで探してるやん、やばない? 警察通報案件ちゃうん』 おばちゃん『ちょっと目に余るから文句言ってくるわ!』 だんち。『おばちゃん、外出たらアカン!』 おばちゃんの隣の部屋のおっちゃん『そうやで、やめとけって。話、通じん感じやし。だんち。さん、悪いこと言わへんから、明日朝イチでここ出た方がいい。粘着されてるやん。警察には俺から通報しとくから』 だんち。『すいません。最後まで迷惑かけて。そうします。』 部屋をかわったおっさん『俺、あのおっさんよりひどくはないやろ? 部屋かわらんかったら良かったんかな』 おばちゃん『そやね、あのおっさんよりかはあんたの方がましやわ』 部屋に戻るキモいおっさん。 安堵するだんち。 だんち。『明日朝イチで電話して、迎えにきてもらうわ』 おばちゃん『それがいいよ。今晩、本当にそっち行かんで大丈夫?』 だんち。『ありがとう。大丈夫だよ』 こうして、4泊予定が3泊予定になりました。( ;∀;) キモいおっさん、怖かったです。
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