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 『こいつら狂ってる?  いや、やばいって、やばいって。  誰か助けてって、叫ぶか?  だ、だめだ殺されるかも…』 「ふたりで飲んどらんで、ワシにもよこせ」 「え、旦那は酒でしょうが」 「水割りにすんだ。ほら、ほら、ほら入れろ入れろ!」 「あぁ、あぁ。もぅ、そんなに奪い取って行くほどですか?大人気ない人だなぁ。」 「ほう、うまいな。水割りも。氷持ってこい」 「旦那…ここは飲み屋じゃないんですよ」  『呆れた大人がいるもんだ…』 「あ!ほら桜の花びら、、やっぱ舞ってるうちに捕まえるの難しいな」  「あ、よければこれ。取れました、どうぞ…」 「流石若者!綺麗な花びらだ!取るの上手いなぁ。私だと潰れちゃうんだ。もうちょっと取ってくれる?あ、そうそう、ふわっとね。上手じゃないの!凄いなぁ君」  「こんなの誰だってできるっしょ」 「お前にしかできぬから頼んだんだろうが。ワシにも寄越せ寄越せ〜。おお!!…何と風雅じゃ」  「花びら浮かして飲むんすか?味かわるの?」 「粋じゃない?桜の花びらなんてさ…綺麗だなぁ。綺麗はいいよ、それだけで天国みたいじゃないか」  「散ってしまえば単なるゴミじゃん」 「アホ!ゴミはワシらの方じゃぞ。こういうのは、花御供(はなごく)じゃな。花は潔うてよい。岡倉くんが言っとるだろ?人は十 で禽獣、二十で発狂、三十で失敗、四十で山師、五十で罪人とな。煩悩を取り払いながら酒を飲んで花を供養するのが花見の極意じゃ、若人」 「君のにも入れたげるよ。ほら、これぞまさしく龍桜の水!いいねぇ。いいねぇ」  『いや大丈夫か?あんたの手汚くないの?   あれ?ほんとだ…龍の水に、桜か。   ほんと光が反射して、うわっ、綺麗だなぁ。   桜ってこんな色してたっけ?   なんか味も甘くなってる気がする。   同じ水、だよなこれ』
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