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それから、どのくらいの月日が経っただろう?
ボクは、楓真に飼われて、一応幸せに暮らしている。
でも、セリはまだ帰ってこない。
時々、あやはが楓真の家に遊びに来る。
セリからの手紙を、読んでいるみたいだった。
ボクのことは、書いてないのかなぁ…?
*
ある日のこと、楓真のスマートフォンが鳴った。
珍しいことではないんだけど、
楓真は相手の声を聞いて、驚いていた。
「え……? えの、もと……?
おまえ、今どこにいるんだ!?」
通話を切ると、楓真はボクを振り回して喜んだ。
目が回る~~~~。
「榎本が帰って来たぞ!
早速、出かけてくるから! じゃあな!」
楓真は、勢いよく飛び出して行った。
ボクも連れて行ってもらおうと思ったのに……。
しばらくして、楓真が帰って来た。
セリのことを、いろいろ言ってくる。
何を言っているのか、さっぱりわからなかったけど、
とりあえず連れて行ってくれなかったことにムカついてたので、
ボクは思いっきり楓真の顔を引っ掻いてやった。
「いってーーーー!」
*
さらに数日が過ぎた。
ボクは相変わらず、楓真の家で遊んでいる。
「凛太郎!」
誰かが、ボクを呼んだ。
女の人の声。でも、ボクはこの声を聞いた事がある。
だって、それは……
セリの、声だったから。
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