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セリが風邪をひいた。
心配だったけど、ボクはなんにもできない。
あやはが1週間、看病してくれてた。
その日から、セリはなんだかおかしくなった。
特に変わった風には見えないんだけど、
時々ぼーっとしたり、ため息ついたりして、
元気がなかった。
ボクが、「どうしたの?」ってきいても、
頭を撫でるだけで、何も言ってくれなかった。
セリは勉強が忙しくて、あまり遊んでくれなくなった。
そして時々、ボクを無視するんだ。
ボクのこと、嫌いになったのかなぁ?
心配になって、あやはに鳴いてきいてみた。
あやはは、セリのことを教えてくれた。
でも、ボクには意味がわからなかった。
*
春が近づいているのに、すごく寒い日だった。
セリは、なにかゴソゴソと夜遅くまでやっていた。
見ると、荷物をまとめているようだった。
荷物をまとめる……?
なんだか、以前にもこんなことがあったような…
『ごめんね、うちじゃもう飼えないから……』
あの女の人、荷物をまとめてた。
まさか。
まさか、まさか。
あの女の人と同じように、ボクを捨てるの……?
ボクは、心配になってセリにすがりついたけど、
セリはやっぱり、ボクの頭を撫でるだけだった。
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