198人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
「つまり、俺が言いたいのはさ…」
宮嶋は組んでいた肩を離して、蒼生の背中をポンと喝を入れるように叩く。
「王崎課長はお前に夢中ってことだ」
そして、すっかりほろ酔い状態の宮嶋は、楽しそうに笑いながら大きな声で言った。
「お前の下剋上、大成功だな!」
確かに、彼らとそんな話もしたなと蒼生は思い出して、つられて笑ってしまった。
「また明日、会社でなー!」
三人と手を振って別れた蒼生達。雅は蒼生の隣に立つと、彼の顔を下から覗き込んで尋ねた。
「下剋上?」
蒼生は雅を見つめながら、幸せそうに微笑んで答える。
「そ、ちっぽけな僕が愛しの女王様に捧げる下剋上のことだよ」
そして彼女の額にキスを落として続けた。
「だから僕は、雅ちゃんの王子様になれたんだ」
『——女の子にとって、好きな人は誰だって『王子様』になるんだよ』
毒林檎をカゴ一杯に抱える白雪姫の言葉だ、きっと間違いはないだろう。
「随分とお迎えが遅かったのね、私の王子様は?」
調子を合わせて揶揄うように言ってくる雅に、蒼生はニコッと笑って彼女の細い手を取ると、指を絡めながらしっかりと繋ぐ。蒼生はこの先何があっても、この手を離すつもりはない。
「許してよ。これからはずっと側にいるんだからさ」
—終章 愛しの女王様に捧げる下剋上・終—
——fin。
これにて本編完結です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
次の頁は感謝とあとがきです!
駄文ですが気が向いた方は、よければそちらまでお付き合い頂けると嬉しいです!
リラ
最初のコメントを投稿しよう!