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第1章 平塚唯
唯愛…こと平塚唯は、
岐阜県にある関ヶ原古戦場の近くで
産まれました…。
御先祖様は名前から察する通り
平塚為広…。
唯「平塚為広って何した人?」
平塚諒一「何した人って義に生きた戦士で大谷吉継公を御守りした我が家の先祖だよ…」
唯の父親は高校で歴史を教える
鬼の平塚こと平塚諒一です。
どうして鬼の平塚と呼ばれるかと言うと理由は先祖が大好き過ぎて徳川家が大嫌いだからです…。
諒一「生徒の水口杏璃が大河ドラマの徳川秀忠の公式ガイドブックを持って来ていたから没収した…」
諒一の先祖大好きな行動にあきれ果てているのが妻である実和…
実和「だから…鬼の平塚だなんて言われるのよ…黄泉国で御先祖様が悲しまれているわよ…きっと…」
ちなみに大河ドラマ・徳川秀忠の主役を演じるのは唯と実和も大好きな売れっ子俳優・町田啓太。
唯「啓太くんなら
妾で構いません…。」
実和「北の方が厳しいみたいだから
妾はいないらしいわよ…町田くんの秀忠様なら妾の1人や2人構わないけど…私はね…」
諒一「大河ドラマはこの頃
女子のための恋愛ドラマ化している気がするんだが…そもそも…」
実和「鬼の平塚がスイッチ入れたから
唯は自分の部屋に行きなさい。そもそも…高校教師が自身の主観に基づいた持論を展開するのは如何なものかしら?先生ならきちんと全ての物事を見なければならないと私は思うのだけれど…」
実和からの指摘に鬼の平塚は、
それなりにヒートアップを始め…
唯「明日の仕事に行く準備するね…」
実和「はーい、ああもう。お父さん、
鬼の平塚談議はそれくらいにして下さい。」
唯はバツイチ34歳なので、
実家に迷惑をかけないよう
仕事をしています。
それは…
西暦2024年03月22日〈金曜日〉
唯「こんにちは、高橋さん。」
岐阜県にある県立病院の病棟で
看護助手としてのお仕事です。
高橋「平塚さんは可愛らしい容姿で
可愛らしい性格をしているのに…
どうして離婚したのかしら?」
患者である高橋海晴は、
平塚諒一が働く高校の校長でした。
だからこそ…
唯の事が心配で仕方ないようで、
暇さえあれば聞き出そうとしており
唯も困惑していました。
唯「どうしてかしら?」
平塚諒一の娘として名前を知られているので唯は病棟の中でも肩身の狭い立場ではあるのですが…
三橋「唯ちゃんならうちの孫・史也と再婚させても構わないよ…どうかな?」
史也「ばあちゃん、勘弁してよ。
鬼の平塚が親族だなんて俺、嫌だよ。」
患者の中には親族を紹介する
人もいますが決まって本人から
断られてしまいます…。
唯「…」
看護助手の仕事は看護師の補助。
並びに患者の要望に応える事…など…
林「平塚さん、目薬お願いします。
やっぱり頼むなら平塚さんだわ…」
基本的に唯の人柄を気に入る人間はそれなりにいるのですが…
仁科「だけど…平塚の娘なんて再婚出来るのかしら?弟は辞めてね…迷惑だから…」
看護師である仁科鈴華は、
弟の仁科芳雄を溺愛しているのだが…
唯『芳雄さんはお父さんと同い年だから遠慮します、初めから…』
仁科鈴華は病棟でボスのようなポジションであるため唯は…心の中で
呟きました…。
唯は夕方18時に仕事を終え
家に帰るといつもの楽しみをします。
それは…
〈三国志想記…君と奏でる恋唄〉
曹丕「唯愛、そなたは私の后だ。
どこで何をしていた?」
曹丕…字は子桓
曹操の次男で曹昂の急逝により
跡継ぎに浮上…したものの性格がかなり大きすぎるため…身内に敵だらけ…
しかし…そんなカリスマ性に惹かれた女性達は数多…
唯「私は子桓様の唯愛です。それ故、
子桓様を裏切りはしません…」
三国志を参考にしたフィクションのゲームで主人公は唯愛…唯一無二の存在として曹魏に君臨する陰の実力者となり曹魏の武将達と恋愛する物語になります。
曹丕以外にも唯愛である唯に惹かれている武将は数多と言う程おります…。
曹彰「兄上…唯愛は我が妻です。
兄上の独り占めは許しませぬ…」
曹彰…字は子文
曹操の3男で母は同じく卞夫人だが、
仲は恐ろしい程悪く唯を巡って言い争いなど常の事でございます。
曹丕「下らぬ…。」
曹丕は曹彰に見せつけるかのように
唯の腰に腕を回しました…。
唯「子桓様、またそのような事をなさると…皆から反感を買いますわ…」
唯愛である唯が曹丕の行いを注意すると曹丕は不機嫌そうな顔をしていました…。
曹休「唯愛は私の妻です…と言いたいですが子桓殿にならお譲りします。」
曹丕の事を1番理解している曹休…字は文烈が曹丕の1番欲しがる言葉を口にした事で曹丕の機嫌は良くなり…
曹丕「唯愛、そなたが足りぬ…
我らの三国志想記の中で生きよ…」
曹丕からの言葉にうっとりした唯が
頷くとゲームの画面が突然光って…
唯はゲームの中へ吸い込まれました。
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