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自分の感情を整理するのに数日かけて、理解して落ち着いて。
それから少し経って、俺はややゴーインに勇魚センパイの部活が終わるのを待ってた。
俺に気付いた勇魚センパイは、暗に『先に帰れ』って言ってたケド、その選択肢は俺の中に無いから気付かないフリをした。
空手部にも誘われたけど、勇魚センパイ以外とはそんなに関わりたくないから、それもオコトワリした。
『おまえ、本読むの?』
勇魚センパイは、俺が本を読むことにビックリしてた。
俺、あんまり本好きには見えないかな……まあ、それはそうか。
俺は昔から、誰かとオシャベリするより本の方が好き。
小さい頃、父の愛人の古株である英さんは、よく俺に絵本を読み聞かせしてくれた。だからだろうか。
勇魚センパイは、俺が電車通(一駅だけど)なのも何故か知っていた。
理由は『ナイショ』だって。
ナイショ。……かわいい。
ダメだけど、帰りに自転車で二人乗りをしたとき、急に背中にぽすんと頭を預けられて心臓壊れるかと思った。
勇魚センパイは、なんでもないような顔をして突然そういうコトをするから、本当に心臓に悪い。
だけど、嫌なドキドキじゃないから。
むしろ、もっとしてほしい……。
誰にでもこういうコトをしてるのかな?
って一瞬だけ思った。
だけど勇魚センパイの性格から、そんな感じじゃないなって。性格の全てをハアクしてるワケじゃないケド、なんとなく。
じゃあ、俺にだけ?
それってめちゃくちゃウレシイ。
誰かに対してこんなことを想うのは初めてだったから、『ああこれが恋なんだ』って、すぐに気付いた。
俺の初恋は、勇魚センパイ。
人生最初で、タブン最後の恋。
何故か、そんな確信があった。
大事にしたい。
初めて抱くこの想いも、勇魚センパイのことも。
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