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アルファだって判明してから、うちにはオメガがたくさんいるからって、俺はアルファ用の抑制剤を飲むことを強制された。
これを飲んだら、自分のフェロモンを自在に出せなくなるし、オメガのフェロモンの匂いもサッパリ分からなくなるらしい。
副作用は、日中少しだけ眠くなることと、口が渇きやすくなるコト……。
なんか、鼻炎薬みたいだ。
父の愛人たちは、全員既に父の番だからそんなことしなくていいって言ってくれたけど、父が許さなかった。
本当にアイシテルのは母親だけだって言ったくせに、俺が自分の愛人たちに手を出すかもしれないって疑うなんて、なんてヤキモチヤキで身勝手なオヤジなんだ。ムカつく。
それに俺は、愛人たちのことは全員本当の姉のように思っているから、手を出すなんてありえないのに。
「射鹿さんはねぇ、シャチ君のことを心配してるのよ。発情したオメガがアルファを襲う事件だって少なくないんだから」
『こまったひとよね』って優しい顔をして、父の愛人のひとりである英さんが言った。
「オメガが、アルファを襲う……?」
「そうよ! 玉の腰を狙って無理矢理ツガイになろうと迫る根性の悪いオメガだっているんだから! 気を付けないと~」
英さんの話に乗っかったのは海月さん。
他の愛人たちも、二人の話にウンウンと同意している。
父の愛人たちは、不思議と全員仲良しだ。
「でも、アルファからはいつでも番解除できる、だろ?」
俺の言葉に、英さんは目を丸くした。
「番を解除されたオメガは、いずれ衰弱して死んじゃうのよ。それが分かってるのに解除なんてできるの? シャチ君」
「! ……無理、かも」
「そりゃあ簡単に番を捨ててしまえるアルファだってもちろんいるけど、たいていは良心が痛んでそんなことできないわよ! そんなアルファの良心を突いて、そういうことをしでかすオメガがいるってこと。オメガ全員が私達みたいに善良じゃないのよ」
海月さんの説明は分かりやすい。
「……そっか」
「ここ、ツッコむところなんだけど?」
「なんで?」
素直にそう言ったら、全員から順番に抱きしめられた。
全員おっぱいがでけーから、顔に押し付けられるとちょっと苦しい。
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