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「いや、あの?添花さん?」
小川を一望できる展望台から、里山の岩影を撮影している添花さんに俺はたまらず声をかけた。
「どうかした?疲れたならキミはその辺りの木陰に入って休んでるといいよ」
「いやいや。そうじゃなくって」
俺は最初に行ったヒマワリ畑からこれまで歩いてきた道のりと、駅で手に入れた観光パンフレットの束とを比べる。
「このパンフレットを見ると駅の反対側のほうが栄えてて、大きなショッピングモールとか遊園地とかがあるみたいなんですけど?」
「だから?」
添花さんは小さなメモ帳に取材した内容らしきものを書き留めている。
「旅行ライターならそっちを取材するべきなんじゃないですか?ヒマワリ畑はまあ、駅前のポスターで認知されてるみたいですけど。でもそれ以外はどこもマイナーすぎてスマホで検索してもあんまり出てこないし」
取材と言うからには有名な観光スポットを巡って、そこの責任者にインタビューしてと。もっと華々しいものだと思っていたのだ。それなのに添花さんときたら、ひたすら歩き回って気になる場所があったら立ち寄って写真を撮ってるだけの気がする。
インタビューだって、通行人とか農家の人とかと世間話してるくらいしか見ていない。
なんか気を抜きすぎじゃないか?
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