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扉を開けて外から入ってきた救世主。それは、
「エリオット!!」
助かった! 助かったよ、エリオット! 一体なぜ急にお前がこんなところに?
「エリオット様、どうなさったの? あら、まあ……」
エリオットの後ろから現れたのは、マティアスの妹のリンゼイ。ああ、人は多ければ多いほど安心だ。こんな雨の中で、どうしてここに来てくれたんだろうか。
「エリオット様。私たち、見てはいけないものを見たのではないかしら。二人のお邪魔になりますので、ここは何もなかったように去りましょう……」
おい、待て! 誤解するな! これは、疲れて眠くて座り込んでる俺に、ヒロインが勝手に迫ってきているだけなんだ、信じてくれ!
リンゼイはエリオットの袖を引っ張って、外に出ようと促した。俺が声も出せず焦る中、エリオットはどこから出してきたのか、大判のタオルを二枚手に取って俺たちに駆け寄る。
「こんなに濡れて……大丈夫か? よければ使ってくれ」
「いや、そういうお前も全身ずぶぬれじゃないか」
俺から手を離したヒロインが、エリオットとリンゼイの方に向かって小さくお辞儀をする。ちょっと全員で落ち着いて話そう。俺たちがなぜ二人でこの小屋にいるのか、エリオットたちがなぜこの小屋にたどり着いたのか、多分きちんと説明しておかないと誤解が生じるぞ、これは。
エリオットの話によると、この一帯はスペンサー領なのだそうだ。
リンゼイを両親に紹介するために、リンゼイと共に領地にやって来た。たまたま二人で散歩中に、滝の近くで俺の馬を見つけた。馬の背中にくくりつけられた地図を見て不思議に思った二人は、その地図をたどってこの小屋にたどり着いたそうだ。
……これで、コレットの指示の理由が分かった。
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