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第19話 王太子と初めてのキス
姿を消したヒロインを救出したという功績で、アランは学園卒業後の王国騎士団への入団が決まりました。ヒロインと共に王都に戻ってきた時は魂が抜けたような状態だったアランも、そのニュースを聞いて大喜び。レオナルド殿下がアランの騎士団入りを国王陛下に進言したそうです。
殿下は、危険を顧みずに尽くしてくれた臣下にはきちんと報酬を与えるべきだ、なんて偉そうに言っています。友人に対しての、殿下なりの御礼の気持ちだったのでしょうね。
「コレット」
「なんでしょうか、殿下」
いつもは円卓会議メンバーも一緒なのですが、今日はたまたま予定が合わず、殿下と二人きりの裏庭ランチです。
「俺たち、友達だろ?」
「そうですね」
「友達なら、名前で呼んでくれ」
……名前で呼ぶ? まあ、確かに殿下の主張は間違ってはいませんね。お友達同士なら、名前で呼ぶのが当然です。
「分かりました。レオナルド様」
「レオ、でいい。みんなそう呼んでる」
レオ様ですか。七歳からずっと『殿下』とお呼びしていましたから、今更『レオ様』とは照れてしまいますね。ですが、お友達なので仕方ありません。そのように致しましょう。
「そういえば、ディラン・エバンスっていうヤツ知ってるか?」
「ディラン様ですか? いいえ、存じ上げませんが」
「エバンス宰相の一人息子だよ。俺と同じ学年の」
へえ……宰相のご令息が、学園に通っていらっしゃったのですね! 全く聞いたことがありませんでした。
「すごい近眼で、目が数字の『3』みたいなヤツだよ」
「……『3』ですか」
ますますどういう方なのか分かりません。目が『3』とは?
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