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レオ様のことをどこかの悪魔だと思っていたあの日々が、今になってとても懐かしいです。私が間違っていました。本当にごめんなさい。
レオ様はただの下っ端悪魔。大魔王は別に存在していたようです。
……この王国の大魔王! それは、国王陛下です! こ、怖いよぉーっ!
「……コレット! どういうことだ。よりによって夜会で招待客のドレスに飲み物をかけたと聞いたが」
「陛下、ご心配をおかけして申し訳ございません。ですが、私はそのようなことは……」
「お前の婚約者ということで、レオナルドにまで悪評が立ったらどうするつもりなのだ! 私のたった一人の後継者なのだぞ!」
うわーん! この一家、みんなキラキラの皮を被った悪魔なのね。流石に国王陛下に直々に詰められる令嬢なんて、世界中探してもきっと私だけだわ。
「陛下、お騒がせしている事お詫びいたします。ですが私は、決して陛下やレオナルド殿下に恥じるような行動はしておりません。それだけは信じて頂きた……」
「……黙れぃっ!!」
はいぃぃぃっ!! 黙りますっ! この私の口め! このこの!
もう、メイ様ったら本当に面倒なことをしてくれましたね。絶対絶対誰かがメイ様の茶番劇を信じて、私のこと陛下にチクったんですよ。
「陛下、恐れながら」
隣にいた宰相様も口を開きました。絶対あなたも今からいらんこと言うんでしょ?
「火のない所に煙は立たぬと申します。事実が何にせよ、リード公爵家の評判は地に落ちたも同然。コレット嬢が王太子殿下の婚約者としてふさわしくないという声も上がっております。せっかくリード公爵家のジェレミー殿は優秀だという噂も聞いておりましたのに。妹君がこの状況では、怪しいものですな」
レオ様の婚約者にふさわしくない? あ、それ実は私もずっと思っていました。仮にも公爵家ですので身分としては申し分ないかと思います。ですが私は容姿も普通ですし、兄のように優秀でもありません。しかもレオ様と婚約中に、他の御方にずっと片思いしてきたふとどき者でもあります。
しかし婚約者である以上、レオ様の名誉や身の安全を守るために全力を尽くしてきた自負もあります。全てのプライドを投げうって、自ら毒見のためにドーナツ泥棒も致しましたよ。ですから、宰相のいうことには納得がいきません!
それにそもそも、こんな大魔界にここまで順応性の高い令嬢を他から探してこられますか?
あと、お兄様まきこまないでね。せっかちだけど優秀だから。
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