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レオ様からハンカチを受け取ります。ハンカチだけじゃなくて、ハンカチを差し出すレオ様の手も一緒に、まるごと両手で包みました。
「レオ様、ありがとうございました。今日もそうだし、今までもたくさん助けてくれて……私気付かなくて」
泣きながら言うから、私の言葉は支離滅裂。心からの御礼の気持ち、伝わるかしら。
レオ様の顔を見上げると、
……へっ?
何? その悪魔の目線と、ニヤリと片側だけ上げた口元。
「俺と手を繋いだな」
「……はっ! これはその……」
「友達同士は手を繋がないんだったな」
「そ、そ、それはそう言いましたが」
「じゃあもう俺たちは友達じゃない。恋人同士って事でいいよな」
「いやそれは、いくらなんでも飛躍しすぎなのでは……」
レオ様が馬車の中でだんだん距離を詰めてきます。ハンカチ、とりあえずハンカチだけください!
「キスさせて」
「……キッ……! 『待ち合わせ』と言って! ダメですダメです! ここ馬車ですし、手を握ったのにそんな深い意味は無いので……」
距離を詰めてくるレオ様からズリズリと逃げて、私の背が馬車の壁につきます。レオ様は私の手を握ったまま、反対の腕を馬車の壁にドンと置きました。
壁ドン……? いえ、馬車ドン……?
レオ様のお口が、お口が待ち合わせ場所に近付いてくるっ! ダメだ、ダメだ、どうしよう……!
「……三秒ルール!!」
「は?」
「三秒ルールでお願いしますっ!!」
うわぁ、また変な事言っちゃった。
「三秒だけならいいの?」
「あ、三秒ルールと言うのは、食べ物を落とした時に三秒以内に拾えばノーカンだって言う……(ふぁっ)」
私が一生懸命説明している間にレオ様が、馬車ドンで三秒ルールの待ち合わせをしちゃいました。
……レオ様。全然三秒で終わらないじゃないですか。
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