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部屋に戻り、ベッドに思い切り体を投げ出しました。今日は色々ありすぎて、頭がいっぱいです。
侍女が慌てて靴を脱がしたり着替えを持ってきたりしているけれど、私はなされるがままゴロゴロ。ベッドの上で侍女に転がされて、ふと棚の上に目をやります。
(あっ! ムーンライトフラワーがつぼみつけてる……)
ただの盆栽だと言う疑惑もあった鉢植え。やっとお花らしくなってきましたね。
「コレット! お前に客人だぞ!」
うわ! お兄様が来ちゃった! ノックもせずに入るのがお兄様の良くないところです。ゴロゴロしてたの見られたじゃないですか。
「ん? そのダラけ具合……。さてはお前、変な噂のせいで陛下に叱られて落ち込んでるな?」
「お兄様……! 変な噂のことご存知だったんですか? それと、どうしてそんなに私の状況が事細かに詳しく分かるんですか?」
「学園中の噂だからな。落ち込んでダラダラしても陛下の機嫌は治らないぞ! とりあえず、マティアスが訪ねて来たから連れてきた。よろしく!」
いやぁぁっ! だからお兄様、お客様がいるならせめてノックして! ベッドから床に落ちながら、何とか髪と顔を元通りに。靴、靴はどこ?
「……ごめんなさい、マティアス。お待たせしました」
とりあえず立ち上がりましたが、ボロボロの格好ですよ。お兄様、恨みます。
「コレット、取り込み中だったようでごめん。まさか直接コレットの部屋に通されるとは……」
「お兄様のスピード感は、ちょっと独特なところがあるから……。とりあえず、どうぞ座って」
お兄様って、一体私のことなんだと思っているのかしら。一応私、未婚のレディなんですが。今日はさすがに侍女も一緒にいてくれるようだから、マティアスと部屋に二人きりなんてことにはなっていないけれど。
「コレット。レオからムーンライトフラワーの鉢を渡されたと思うんだけど、それの様子を見に来たんだ」
「ムーンライトフラワー? ああ、あそこの棚に置いてあるわ。そう言えばこのお花、マティアスが見つけてくれたのよね。ちょうどつぼみが付いたところなのよ」
「え? もう?」
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