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少し口に入ってしまった水のせいでケホケホと咳をしながら、岸に上がった後もちゃっかりエリオット様の手を握ったままにしてしまいました。
「……大丈夫?」
なんと……! まだ声変わりをしていないにも関わらず、既に色気あふれるこの美声。エリオット様もびしょ濡れなのに、先に私を気遣ってくれるこの優しさ。やっぱり、前世の私による最推しのエリオット様、最高です!
「助けていただいてありがとうございます。私は大丈夫です」
「良かった! 君がコレットだね。スペンサー領へようこそ。休暇を楽しんで」
そうなのです。残念ながら私は……コレット・リードなのです。
この世界が、前世で私がプレイしていた乙女ゲーム『ムーンライト・プリンセス』のシナリオ通りであるならば、私は近々この国の王太子様と婚約する運命なのです。
あ、ちなみに王太子様の婚約者と言えばもちろん、悪役令嬢ですよね。
よりにもよって生まれ変わった先がヒロインじゃなくて、悪役令嬢の方かぁ……残念すぎる。
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