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家から近いスーパーに行き、野菜コーナーをうろつく。
(やっぱり最近の野菜は高い……)
そう思いながらもカゴに野菜を入れる孝臣は、茄子の棚の前で足を止めた。
(……何茄子にするかまだ決めてなかった)
麻婆茄子、蒸茄子、豚バラと茄子の炒め物、茄子とピーマンで肉味噌炒めというのもありだ。
(茄子のグラタン……も休みの日にするとして。他はいっそ全部作るか)
今日の晩ご飯は茄子料理がテーブルに並ぶことだろう。
考えれば考えるほどお腹が空いた。
早く作りたい、早く食べたい。
ほかにも肉や魚、お惣菜も買い足して早々に帰路に就いた。
1人暮らしのマンションに帰った孝臣は、適当なスウェットに着替えてさっそく料理に取り掛かる。
料理が好きな孝臣だが、大食漢でもある。自分で食べる分を全て作っていると時間が足りない。そのためお惣菜を買うことも多い。
今日は焼きそばと鮭弁当、梅おにぎり、ツナマヨおにぎり、きんぴらごぼうを買った。それが全て今夜だけで孝臣の腹に消える。
茄子料理を作り、合間にテーブルをセッティングし、お惣菜を温め直す。
時間を上手く使いながら着々とご飯の準備が整っていく。
部屋には味噌炒めで使った味噌香りや、総菜の鮭弁当の匂いが広がる。
テレビをつけ、流れていた歌番組をそのままにキッチンに戻る。
早く食べたくてたまらない。
孝臣は麻婆茄子を作りながら、無表情を微かに緩める。仕事の時はとは違った、穏やかな表情で黙々と料理をする。
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