今日の晩ご飯は

4/4
前へ
/4ページ
次へ
全ての料理が出来上がり、所狭しと食べ物が並んだテーブルの前に座った孝臣は、「いただきます」と手を合わせた。 一番手前にあった、茄子とピーマンの肉味噌炒めを口に頬張る。 誰も見ていないのをいいことに、大口を開けて頬袋いっぱいに茄子を詰め込む孝臣は、分かりやすく目を輝かせた。 茄子とピーマンにもしっかり味噌の味が絡んでいる。 (うま……) 自画自賛しながら箸を動かす。 部屋に流れる歌番組を聞きながら、キッチンで茶碗にお米を盛り直す。 作った料理も、買ったお惣菜も全て孝臣の腹に消えた。 満足そうにお腹を撫でた孝臣は、「ごちそうさまでした」と手を合わせた。 ここから片付けをするのは面倒だ。 作るのは好きだが、片付けは嫌い。 (……もう少しあとでもいいか) 孝臣は流し台に積まれた食器からそっと視線を外し、冷蔵庫の中からチョコ菓子を出した。 それを食べながら歌番組を見るのだ。 片付けはお風呂上りでもいいだろう。 そうやって、お風呂上りは眠くなる孝臣は、欠伸を噛み殺しながら食器洗いをするのだろう。過去にそれで何枚手を滑らせて食器を割ったか分からない。 (……明日の朝は何食べよう) 今さっき晩ご飯を食べたばかりだというのに、もう明日の朝食について考えながら、孝臣は片付けが残っているという現実からしばし逃げた。 口に放ったチョコレートの甘さが口いっぱいに広がった。 了
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加