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「無理させているなぁって思っていたけど、俺もちょっと本業の依頼が多くて…フォロー出来なくてごめんね。あ。こんな時になんだけど、先日の化粧水20本、親店が引き取ってくれるって」
「ほ、本当ですか!……良かった。本当にすみません、以後気を付けます!」
私は後ろから抱きしめられたまま頭を下げる。
実は和佐さん復帰直前、商品の発注業務においてウチのサロンでは滅多に出ない高級化粧水を本社に2本発注するつもりが、何の操作を間違えたのか22本発注してしまったのだ。
そして発注内容の確認もしないままサロンの業務に戻ってしまい、次の日届いた段ボールを開けた瞬間血の気が引き、目の前が真っ暗になってしまった。
―――過剰在庫20本。販売価格1本4万円(税抜)。
私が全てお買い上げしようにも金額が高すぎて無理、なんて考えているところにオーナーがちょうどサロンにやってきたのだ。
「いや。再発防止はお願いしたいけど、どんな些細なミスでも自分でなんとかしようとせずちゃんと報告してね。あの時の唯ちゃん、すごく思いつめた表情をしていたよ」
「はい…わかりました」
うなだれる私をぎゅっと力強く抱きしめ、ポンポンと頭を叩く。
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