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精神的に参っているようだったので、接客は減らして事務の仕事や俺のメイクの仕事の同行などを夕夏に任せるようにした。
だけどある日突然彼女は俺の前から姿を消した。詳しい内容はわからないが、他のセラピスト3人と口論になったらしい。
未だ嫌がらせをしていたセラピストが誰かわからないが、彼女らがそのような卑劣なことをするとは信じられない、いや信じたくないというのが本音なんだ。8年間一緒に仕事をしてきたが、今でもそう思う。
だけど今、唯と付き合っていることを公表したら、また何が起こるかもしれない。8年前と違い、今俺は多忙でサロンに顔を出す事すらままならない状態だ。唯を守る事が出来るとは思えない。
「それが、秘密にしておきたい理由なんだ。ごめん、わかってくれるかな」
私だってセラピストの誰かがそんな事をするとは信じられない。
だけどオーナーが私を守るために「秘密の関係」の提案をしたという事は理解できた。
別に会えないわけではない。
サロン内であっても、完全に二人きりであれば触れ合う事が出来る。
私は小さく頷き、「わかりました、寂しいけど我慢します」とオーナーにすり寄った。
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