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ずっと憧れていました!
―――時は前日の夕方に遡る。
「唯ちゃん、コットンの補充は大丈夫かな」
「はい、補充済みです!在庫分は明日届きます」
「了解。いつもありがとう」
そう私に甘い笑顔を向けるのは、フェイシャルエステサロン経営者であり私の雇い主である柏木来斗32歳。
母親が化粧品販売店を経営しており、メイクアップアーティストとしての腕を持つオーナーは全ての人の美しさのためにとエステサロンを8年前に立ち上げた。
運が良ければイケメンオーナーにメイクをしてもらえるという口コミのおかげか、このサロンは常に予約でいっぱいだ。
当然エステも満足して貰えるクオリティでリピートが多く、ご新規のお客様を時々お断りしてしまう程だ。
どんなに煌びやかな職業でも、裏では必ず雑務が存在する。
そのサロンで働く私、早坂唯23歳は短大卒業後このサロンでの事務・雑務を全般的に任されている。
「由紀奈さん!私が後でやりますよ!」
エステセラピストである由紀奈さんがエステルームの掃除を始めたので、止めに入る。
「唯ちゃん、良いのよ。それよりも今日はオーナーとお祝いのディナーでしょ?事務の仕事は終わった?ほら、着替えもメイクもしなきゃ!」
「え、このままじゃダメですか?」
一応お出かけ着ではあるし、メイクも自分なりに頑張ったつもりだ。
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