出向することになりました

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 確かにサロンでオーナーに会うことはなかったし、段ボールが片付いていても何も言わないのは忙しいからだと思っていたけど……事務員が新たにいるとなると話は別だ。 「事務って、その方にどこまでお願いしているのですか?」私は眉間にシワを寄せる。 「うん?唯から引き継いだ仕事全てをお願いしているよ」  私はオーナーのために日々の業務のリストを作成し「コレがあれば小学生でも完璧な事務員になれます!」と言って渡していた。  え?つまり私はその人の仕事のフォローをしていたわけ?  心が狭いのかもしれないけど、オーナーにその人の功績だと思われていると思うとモヤッとする。 「事情があって彼女が出勤する時間は早いから、会うことは無いかな。でもちゃんとよくやってくれているから心配しなくていいよ」  いや、それは私が手出ししている結果なんですけどー!!と声を大にして言いたかった。  そしてモヤッは更に肥大した。  オーナーは先程、事務員の事を「彼女」と言った。  セラピストが不在の時間に出勤する……意図的に誰とも会わないようにしている?  ―――それって、まさか「元カノ」ではないですよね?
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