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『明日、午後からの予定はどう?次の日休みならウチに泊まる?』
夕夏さんをサロンで目撃した次の日の夜、自分の部屋で寛いでいるとオーナーから久しぶりにお誘いメールが来た。
以前の私なら「忙しいオーナーが私の為に時間を作ってくれる!」と大喜びで誘いに乗っただろう。
行きたい、会いたい、触れたい…。
だけど素直に喜べず、答えられない。
相手が誘ってくれるまでじっと耐え忍んでいた自分の姿が正しく『日陰の女』で、滑稽に思えたからだ。
オーナーに会えば、元カノの夕夏さんを事務員にしないで欲しいと言ってしまいそうだ。
例え今の彼女は私だと言ってもらえても、本来の私の居場所を元カノに奪われているなんて思うだけで気分が悪く吐きそうになる。
……彼女?
あぁ、考えてみれば私は「好きだ」と言ってもらえていても「彼女」だと言ってもらえた覚えがない。一緒にいて1年が経った今でも「オーナーの彼女」という立場は自分にとって最上級の立場と考えているので、言ってもらえた時点できっとうれし泣きをしている。
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