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策略に乗せられました
オーナーが不在の間に、私は1週間振りのサロンへ向かった。
案の定、段ボールや未処理の仕事が山積みだ。
もしかしたら夕夏さんは、段ボールなどは溜め込んで一気に片付けたい派なのかも知れない。だけど日々作業すれば僅かなものが、数週間も溜め込めば膨大な量となり、事務室が手狭になる。
何より未開封や商品が入った段ボールが、空の段ボールに紛れていたのはまずい。片付いていればそうならないはずだ。
去年分の確定申告が難なくスムーズに終わったのは、私がいつでも提出できるように日々データを入力し、年始には資料を揃えておいたからだ。
私がお手伝いするのは、今回で最後と決めた。
夕夏さんに事務員としてキチンと仕事をしてほしい。
私だって小川店での業務があるのに、手が付けられない状態になってから泣きつかれても正直困る。
朝一番で私は施術の準備をしている由紀奈さんにサロンの中へ入れてもらった。
「新たに事務員を雇ったか?うーん、聞いていないわよ。オーナーがしているのだとばかり思っていた。だって、しょっちゅう商品入荷を間違えているのよ」と由紀奈さん。
オーナーが隠しているなら私が言うべきではないと思い、私は何も言わず事務室へ向かった。
私は結局1日かけて事務室を片付け、時間が許すところまではパソコン作業も済ませておいた。
嫌味に取られてしまうかも、と心配しつつも「お疲れ様です。出来れば日々作業をしておくと、後々楽になると思います」と作業を書き出した紙をパソコン前に置いておいた。
オーナーの手を少しでも煩わせたくないと思う気持ちはきっと同じだと思うから、これで大丈夫だと私はタカをくくっていた。
久しぶりにお会いした夜の部のセラピストにご挨拶して、私は家路についた。
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